2008年10月25日
由来について
GATSBY(ギャツビー)
アマレット ・・・ 1/4
カカオ(ブラウン) ・・・ 1/4
クリーム ・・・ 1/2
上記の材料をシェイク、カクテルグラスに注ぐ。
カクテル名はフィッツジェラルドの小説、グレート・ギャツビーの主人公ジェイ・ギャツビーから。
秋口から美味しくなるお酒に種子系のリキュールがあり、上記のアマレット(杏の種の仁)のほか、ノチェロ(くるみ)、フランジェリコ(ハシバミ)などが代表的。
また冷え込みが厳しくなるにつれ旨くなるバーのお酒に、コニャックやカルヴァドス、スコッチウイスキー等があるが、このカクテルの度数が物足りない方にはフレンチ・コネクション(コニャック+アマレット)やゴッド・ファーザー(ウイスキー+アマレット)などをおすすめする。甘さは必要じゃない、と言う方はそのままでどうぞ。
このカクテル私見によれば、小説ではなく映画(1974年版)の公開とともに作られたカクテルではないか、と考えている。先にもあげたフレンチ・コネクション、ゴッド・ファーザーは映画と共に創作されたカクテルである事はつとに有名だが、このカクテルもその流れのなかでつくられたものとは考えられないか。フレンチ・コネクションが71年、ゴッド・ファーザーは72年に公開されているが、ギャツビーも74年に公開されたハリウッド映画であるという事、また全てのレシピにはアマレットが使用されているという事に一連の流れを感じる。当時の輸入代理店が、お酒の宣伝に映画のイメージをうまく利用したのではないだろうか(現在ではあたりまえのお話であり、そうでもなければボンドがバイオは使わないだろう。イメージとして)。実際にこのカクテルの味わいがロバート・レッドフォードのギャツビーには、何ともぴったりな感じがする反面、小説のギャツビーとは少々かけ離れている。後者のギャツビーに、このカクテルを飲んでいただく機会があるとするなら「そうか、これが君の考える私のイメージなんだね、オールド・スポート」などと言われたきりで特に何もでてきそうにない。我々の運が、もしも良ければあの微笑みを拝めるかもしれない(ちなみにギャツビーはお酒を口にはしない)。
このレシピはどのカクテルブックにも散見されるわけではなく、手元にある30冊ほどのなかではサントリー社のカクテルブックに掲載されているのみ。そのカクテルブックの参考文献を覗くと125冊(84年版はこの数字で、改訂版になると数が少しふえる)、そのうち洋書が70冊あり、アメリカのカクテルブックが32冊(ヨーロッパの人間がアメリカ人の書いた小説の主人公の名を冠したカクテルなど作るわけなどない、と考える)ある。その中で74年以降に出版されたものは全体の72.4%、誘導をしたいわけではないが確度は高いと考えている(これからのバーテンダー人生でゆっくりと確認して行きたいと思う)。
このカクテルが、またさほど一般的でない理由にやはり映画の人気に起因するところが大きいのではないだろうか。ちなみに米での興行収入を比べると、
フレンチ・コネクション(71年) 5170万ドル
アカデミー賞5部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、編集賞)
ゴッド・ファーザー(72年) 8150万ドル、世界では2憶5千万ドル
アカデミー賞3部門(作品賞、主演男優賞、脚色賞)
華麗なるギャツビー(74年) 2056万ドル、アカデミー賞2部門(衣装デザイン賞、音楽賞)
となっている。映画と同じくカクテルの世界でもやはりゴッド・ファーザーが一番に有名であり、フレンチ・コネクションはバーテンダーからすればゴッド・ファーザーから派生したカクテルのように考えられている節がある。ギャツビーにいたっては、ああ何か聞いたことがありますね、という程度。映画ギャツビーがまた不運なことに74年は年末にゴッド・ファーザーの二作目が公開となりアカデミー賞を6部門も受賞したと言う事、タワーリング・インフェルノも同年の年末に。公開順としてはこちらはまだしも、私の考えるギャツビーの振るわなかった最大の理由のひとつは、前年の12月にスティングが公開されているからではないかと。ギャツビーは74年3月の公開だが、スティングを観た後にギャツビーのロバート・レッドフォードをみると少しだけ腑抜けのように見える(映画の終幕辺りは、ある意味太陽がいっぱいのようにシリアスだが、映像的にはうつ伏せではあれロバート・レッドフォードの顔つきが思い出されてそこまででもない。しかしそのような着想で想像をふくらませると、話はもともと正反対でパトリシア・ハイスミスこそがグレート・ギャツビーを下敷きにしているとも考えられるのではないか。太陽がいっぱいの原作The Talented Mr.Ripleyが上梓されたのは55年のこと。ギャツビーはと言えば、戦後の数名の文芸評論家による再評価運動があり、文学の世界におけるギャツビーの地位はうなぎのぼりであった。そのような時期において、ハイスミスがギャツビーを読んでいたという蓋然性は高いだろうし、フィッツジェラルドが亡くなる1940年まで、少なくとも20年間二人は同時代のアメリカ人ではあったのである。二つの作品からは、映画におけるラストが、映像として、また全く別の二人の人物の精神面がある意味酷似しているし、船の上で二人の精神が変化していく様も同様に強い類似を感じる、という私の勝手な妄想が続く)かも。くらべてしまえば、どうしてもスティングに分があるしギャツビーは話題が話題を呼ぶ、という程ではないかも知れない。でも個人的には悪くない映画だと思っていますが。 つづく
Bar Vespa Kumamoto
投稿者 vespa : 2008年10月25日 17:00
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コメント
春樹論も聞かせて頂いたこともあり、ついこちらへコメントしてしまいました。次回のオーダーカクテルは、是非ギャッツビーで!
ねっ!
今日は7月7日です。七夕。お店に行く途中、東の空を見上げても満月の光で夏の大三角は見当たりませんでした。
ベガとアルタイルの二つの星の間を流れる天の川も。。。。
確かにそこに存在しているであろう見えない星に願い事ひとつ。・・・叶って欲しいものでございます。
小気味のいい楽しいトークと美味しいカクテルをありがとうございました★
では、また
投稿者 Cocktail‐Haruki : 2009年07月07日 06:19
いつも楽しく拝見させていただいております。
思うのが「ゴッドファーザー」のような映画館関連のカクテルは、映画の販売促進として公的に作られたものなのか?それともたとえばアメリカだったら、アメリカの有名なBARで自発的に創作されたカクテルが映画のヒットと共に広まったのか?個人的に分権を広げて見てもその原点というものが見当たらないのです。比較的新しいカクテルにもかかわらずそこまでの情報がないことに疑問を感じてしまいます。
真意のほうはいかがなものでしょうか?
投稿者 cocktailマニア : 2008年10月28日 15:41