2010年2月19日
服装とカクテル PARTⅡ
私たちの世界から「洋服」だけを服装として捉えているのではなくBARの中から、見てみると面白いことがいっぱいあります。
それは、BARの世界から見たグラスは「飲み物のドレス」ということで、「飲み物の装い」と捉えているのです。
作ったカクテルにどのドレスを装わせるか?
それも、バーテンダーの楽しみの一つでもあるのです。
我々が、フォーマルな服装でお客様に接しているのも、お客様に対してはもちろんですが、長年の歳月をかけて作られた、お酒や飲み物のドレスであるグラスに敬意を表していることが大きいのです。
私がベスパ熊本で仕事をするようになって、約三ヶ月になろうとしていますがその中で、
「ドライマティーニ」と「マンハッタン」の注文がやたらと多い。
キング・オブ・カクテルとクイーン・オブ・カクテルです。
その昔、丁稚だった私などはバーテンダーとして3年以上しないと作ることを許してもらえなかった、思い出深いカクテルでもあります。
自分で材料を買って、黙々と練習したことも懐かしい。
そんな頃、カジュアルな服装をした若い男性が、「ドライマティーニ」を注文しました。
そうすると、マスターは、『その服装では「ドライマティーニ」はお出しできません。カクテルの王様である「ドライマティーニ」を飲みたければ、ジャケットぐらい着てきなさい。』と一喝。
私は、「襟を正す」ことの大切さを懇々と教えられました。
今の時代では時代錯誤も甚だしいと言われることでしょうし考えられないことでしょう。
しかし、「いい物はいい」、「いい事はいい」、と素直に捉え、美味しい「ドライマティーニ」や「マンハッタン」を味わって頂く為に、ゲストである皆さまも演じてみてはいかがでしょうか?
ドラマチックな世界は我々だけの一方通行では作ることの出来ない世界なのです。
余談ですが、そのカジュアルで「ドライマティーニ」を注文した青年は、後日、スーツ姿で「ドライマティーニ」を飲みに来て頂けました。
たった、一杯のカクテルですが、その青年の人生に大きな役割を果たしたことは事実です。
BAR-VESPAでは、カジュアルな服装では「ドライマティーニ」や「マンハッタン」を作らないと言っているのではありません。
素敵な時間を過ごして頂く為のお役に立ちたいのです。
私たちはお客様の「黒子」ですから・・・・・。
日頃、特別なことがない限り「フォーマル」な服装などはされないでしょう。
しかし、一杯か二杯の「ドライマティーニ」を飲むためだけに洒落る。
そんなことがあってもいいのではないですか。
そんな方々の「ドライマティーニ」というオーダーに襟を正したいと思っていますし、カクテルのドレスでもあるグラスを磨いて待っています。
媚山 達己
投稿者 vespa : 2010年2月19日 17:00